なんと昨夜、横綱「照ノ富士」関の引退が発表された。
大相撲ファンとしては何とも寂しいものである。
大相撲は大好きで毎日のように観ている。
昨年は両国で実際に照ノ富士の取り組みを観たが、圧巻の強さで、「これぞ横綱!」という凄みを感じさせた。土俵入りなんかは鳥肌ものである。
最近の照ノ富士は、ひざの怪我や持病の影響もあってか、年に2回ぐらいしか出場しない。ただ、出場した時はしっかりと優勝の結果を出す点はさすがであった。
横綱が出てくると取組前から「横綱が勝つだろう」ありきで観戦し、たまたま負けると大いに盛り上がったりする点が、やはり「最強」の貫禄を持つもの特有の存在感だった。
特に、僕の好きな小兵の代表格である「宇良」や「翔猿」と「照ノ富士」の対戦は、毎度毎度、興奮させてくれた。負けても「横綱相手によくやった!」と素直に思えるすがすがしい取り組みばかりだった。
ちなみに、照ノ富士の現役最後の相手が「翔猿」であり、彼に敗北したというのも僕にとっては何とも運命的で面白い。照ノ富士も「もはやここまでか・・・」と思わせるに相応しい相手であったに違いない。
そんな無類の強さを誇る横綱「照ノ富士」がついに引退してしまう。寂しさの極みだ。
アスリートは、僕が言うのもなんだが大変だなあと思う。幼少期から鍛え上げ、中には子供らしい遊びや青春を投げ捨ててまで練習や稽古に明け暮れる。
でも、スポーツに取り組む多くの人の夢は脆くも敗れ去る。プロになって活躍できるのは奇跡に等しい。
そんな苦境を乗り越えて、華々しく活躍する彼らを見て、僕らは子供時代に「いいなあ!あんな風になりたい!」と憧れたりする。
しかしながら、せっかく活躍できたとしても、アスリートの活躍できる期間は多くはない。おおよそ、どのスポーツもピークは30歳前後だろう。
社会人としては「活躍はこれからだ!」と感じる年齢に、アスリートの多くはピークを越え、下り坂を迎える。それに抗いなら生き残っていくことを模索する。諸行無常。栄枯盛衰。素人ながらに何とも言えない「儚さ」を感じてしまう。
アスリートが「華」として活躍できる期間は想像以上に短い。
さて、話題を変えて、「投資家」はどうだろうか。
世界的有名なウォーレンバフェットは90歳を越えている。2023年、惜しくも亡くなってしまったバフェットのパートナーのチャーリーマンガーは99歳で亡くなった。が、死ぬまで「現役」であった。
最近、よく取り上げられる『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え(ダイヤモンド社)』を出版した藤本茂さんは80歳を越えても現役で投資家として活躍している。
しかも僕と違って投資というよりトレーダーだ。トレードで日々稼ぐには相当な頭脳と反射神経が必要であろう。凄いなあと素直に思う。
また、昨年、個人資産800億円超、投資界隈の大ヒット作『わが投資術(KADOKAWA)』を出版した清原達郎氏は、1959年生まれの65歳。
著書では「衰えた」と書いてあったが、65歳を越えても活躍できている点、投資家寿命の長さを体現している一人であろう。
ちなみに清原達郎氏は「大株主」検索すると、しっかり名前が出てくる。保有銘柄も見ることができる。こうして現役で投資家活動していることを確認できるのも面白い。
こう見ると、投資家の選手寿命は本当に長い。90歳を過ぎても活躍できる仕事が他にあるだろうか?そうそう見つからないだろう。
30代、40代なんぞ、活躍している投資家からすればまだまだヒヨッコであろう。まさに「序の口」。その2倍も3倍も生きている人が活躍している土俵なのだから。
ここに僕は投資家としての醍醐味を感じている。日々、鍛錬したり、努力したり、それが、長期にわたって実りやすい。しかも、その努力も複利効果を伴って。
投資家は引退がないアスリートである。投資家としての実力はまだまだ序二段ぐらいか。「新入幕」はまだまだ遠い。