めちゃくちゃいい本に出逢った。
僕にとっては間違いなく30冊に1冊の名著だろう。こういうお宝に巡り会えるから読書はやめられない。
『ひとりあそびの教科書(宇野常寛著、河出書房新社、2023)』
僕自身、「遊び」は人生を豊かにすると確信してるし、特に「ひとりあそび」こそが重要と昔から思ってて実践している。
しかしながら、この重要性を理解している人は、実際はそれほど多くはない。
なので、「もし僕が新しく本を出すとしたら?」実はこの「ひとりあそび」をテーマにした本を出したいと考えていた。
そんなところにドンピシャのタイトルが目に入り、かつ、僕自身の「ひとりあそび」の精度を高めたくて本書を手に取った。
内容はまさにドンピシャリで、「これが僕が言いたかったことだ!」と思える内容を、これでもか!というぐらいわかりやすく、面白く書かれていて、少し嫉妬してしまった(笑)。
例えば、僕は「旅すること」が人生を豊かにするものだと考えている。特に「ひとり旅」。しかし、こう言うとハードル高く感じるが、何も遠くに行く必要はない。
自宅から1時間ぐらいの近場でも、十分に旅なのだ。ところが、乗り物や行く手段は変えたほうがいい。僕の場合はバイクや車。それだけで、近場でも全く違う刺激的な場所になるのである。
著者は「走ること」でそれを体現していて、妙に納得した。
わざわざ高いお金を払って海外旅行に行ったり、観光名所に行かなくても、十分に旅の醍醐味は味わえるのである。
それと、「目的を持たずに遊びをする」というのも納得。人はとかく遊びの中に「勝つこと」や「ハイスコア」などを目的にしようとする。これは学校教育の弊害だろう。
偏差値や成績など、他人と比較することをいつの間にか強要されて育てられるので。
ところが、子ども時代はそうじゃなかった。砂遊びとか、誰とも競うことなく、比較することなく、「ただただ遊ぶ」ことそのものが面白かった。
この「感覚」が遊びには大事なのである。そのためにも「目的」を持たないことは僕自身もとても大切にしている。本書にもそれが説かれている。
また、「作る喜び」にいて書かれている点も納得。本書では模型やレゴの面白さについて書かれている。僕自身、レゴはたまに作るし、「Minecraft」で建物を作ったりするのが好きだ。無我夢中に。時を忘れて。
この「作る」行為に人間の幸福の源泉があると僕も思っている。
他、人生を幸福なものにするために納得する点が、本書のあらゆるところに書かれているが、「あとがき」がまたイイ。
情報発信することで満足するな!
と言いつつ、「でも情報発信した方がいいよ」と。
じゃあ、どう発信すればいいか?
著者の言う事を誤解を恐れずかんたんにまとめるなら、「自分のために書け」と。誰かのために書くな、と。誰かを、特に多数の誰かを、意識しすぎた時点で、その情報はつまらないものになるし、ありきたりなものになってしまうと。
「遊びのこと」なんて、誰が読まなくてもいいじゃないか。自分自身さえ納得すれば。
でも、まあ逆説的だが、実はこれこそが、面白く、価値ある、希少性の高い情報になったりするから面白い。
ある時、どこの誰かも知らない人のタメになったりね。死んだ後かもしれないけどね。
僕自身もブログやインスタグラム、facebookはまさにそのつもりで書いている。誰かに読んでもらおうというよりは、自身の思考の整理だったり、やったことや思考の記録の意味合いが大きい。
マス受けはしないし、そこを狙うつもりもサラサラない。
で、本書のあとがきにもそれこそを推奨していて腑に落ちた。
総じて、著者の実体験に基づく「ひとりあそび」のコツやポイントが書かれていて参考になる。
また、「ひとりあそび」の重要性が書かれていて、忙しかったり、他人基準の人生に嫌気がさしているだろう現代人にはグッとくるのではないだろうか。
『ひとりあそびの教科書(宇野常寛著、河出書房新社、2023)』