『会計の世界史(田中靖浩著書/日本経済新聞出版社)』を読みました。
これは傑作です。文句なしに「買い」の一冊です。実に面白かった。
本書は、大きく「簿記&会社」→「財務会計」→「管理会計」→「ファイナンス」の発展の流れを解説したもの。
特徴としては、ビートルズや絵画などを組み合わせて、エンターテイメント性を持ってストーリー展開をさせたところです。
会計本というと数字や計算式ばかりでとっつきにくい・・・
世界史というとよくわからないカタカナがでてくる・・・
そんな悩みを微塵も感じさせない面白い本です。
『会計の世界史(田中靖浩著書/日本経済新聞出版社)』
個人的には、終盤の「マイケルジャクソンがビートルズの楽曲権利を購入した」という箇所が印象的でした。
マイケルジャクソンは「価値」に注目し、ビートルズ(オノ・ヨーコ)は「コスト」に注目したという点。
まさにこれこそが「ファイナンス」と「会計」の考え方の大きな違いです。
ファイナンスは未来を見通し、会計は過去を表したものともいえます。
仕事柄、M&Aや企業査定などに関わることがあります。
その際、いまだに企業価値を「簿価」などの会計視点で視る人が多かったりします。
例えば、「土地を担保にして・・・」という発想はその典型といえるでしょう。
しかし、逆を言えば、その視点のギャップにまだまだ儲けのチャンスが潜んでいるともいえます。
気づいた人は儲けのチャンスをものにし、気づかなかった人(ビートルズのように)は儲けのチャンスを知らず識らずのうちに失ってしまいます。
閑話休題。
なぜ、現代は「ファイナンス」にたどりついたのか?
それまでに、簿記や株式会社、財務会計、管理会計・・・と流れを汲む必要があったわけで、見事、それをわかりやすくストーリー仕立てで解説しています。しかも、芸術や音楽とからめて面白く。
資本主義を読み解く貴重な一冊となることでしょう。
有無を言わさずオススメです。
『会計の世界史(田中靖浩著書/日本経済新聞出版社)』
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