『経営者・平清盛の失敗(山田真哉著、講談社、2011)』再読。

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経営者・平清盛の失敗(山田真哉著、講談社、2011)』を再読した。

やはり、平家研究は面白い。

何が面白いか?

栄枯盛衰、つまり、発展と衰退のリアルが学べる点。

よくある投資本や成功本は「どう成功するか?」がメインで書かれる。当たり前と言えば当たり前か。

私たちがよく目にするハリウッド映画も苦労や挫折を乗り越えて成功し、ハッピーエンド・・・というストーリーが主軸だ。こちらも当たり前と言えば当たり前だ。

しかし、肝心なのは、成功するまでより、「成功した後」。ここが危ない。

成功すれば普通は驕る。調子に乗ってしまう。外から失敗がもたらされるというよりは、「自滅型」が圧倒的に多い。成功後に意思決定を自ら間違えてしまうのである。

ところが、そういった「成功後」の意思決定のポイントは、なかなか学ぶ機会が少ない。あまり面白くないからだろう。需要がさほどないから商業ベースには乗りづらい。

「こうしたらあなたは不幸になる」という映画や小説はあまり売れなさそうだろう。例え、学びが多くとも。

そんな中、日本の古典は特にこの「失敗」や「戒め」に焦点を当てた物語は実に多い。元々、失敗から学ぶ文化が根付いているのだろう。それが絶えずに残っているのは日本が誇る至宝である。

そして、平家物語もその一つ。どうすれば成功するか?と共に、どうしたら失敗するか?も同時に、しかも感情を伴いながら学べる点が実に価値が高い。

ちなみに、私が主宰する私塾「創伝塾」の今月のテーマは「平家物語」。ここから、成功と失敗の本質を学んでいく。

けど、「平家物語」はどうしても情緒に焦点を当てているため、史実から遠ざかる表記も多い。

そこで、本書『経営者・平清盛の失敗(山田真哉著、講談社、2011)』などを合わせて読むと、バランスが取れて尚良い。

著者の山田真哉さんは公認会計士。お金のプロの観点から平家の栄枯盛衰を語る点がとてもユニークで勉強になる。経営や金融の学びが豊富。

ちなみに、山田真哉さんはどこかで本書の出版はあまり売れなくて失敗だったと語っていた記憶があるが、私にとっては、山田真哉さんの著書の中で最高クラスの学びがある名著と思っている。こういう本は大衆ウケしないというのが世の中のパラドックスというのも面白い。投資や経営におおいに役立つのだがねえ。

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