経営コンサルティングをしていると、
「うちは●●がダメなんです」
「従業員が仕事できないんですよね」
「もっと商品のここを直した方がいいと思うんです」
などと、「短所」や「欠点」に目がいく社長さんがいる。
ところが、考え方を変えると、短所や欠点は強力な武器になるんだよね。
ここに面白い動画がある。
落合博満さんが阪神の悩める藤浪投手のことを解説するシーン。
藤浪投手といえば、あの大谷翔平選手と同期。
しかも、大谷くんと同じく160kmのスピードボールを投げられる。
そんな藤浪投手は、新人のころの数年こそ活躍したのだが、その後は迷走。
あまりぱっとした成績は残していない。
要因は「すっぽ抜け」のクセがあること。
すっぽぬけて、大暴投することがよくある。当然、打者の頭などをかすめたりの危険球も。
打者としてはたまったものではない。なにせ、160kmのスピードボールが頭めがけてくるんだから!直撃したら大怪我どころか、死すらよぎる。
藤浪投手は優しいのかもしれない。それを気にしてか、調子をずっと上げられていない。
ふつうは、その藤浪投手に対して、「こうしたらコントロール良くなるよ」などのアドバイスをすると思う。
ところが!
落合博満さんは違う。
「最も対戦したくない投手」と豪語する。
「すっぽ抜け」は逆に大きな武器になると言うのだ。
確かに僕も野球をやっていたころ、最もイヤな投手は「コントロールが悪い投手」だった。
スピードが速かろうが、コントロールがいいピッチャーであれば、意外とマトを絞って打てたりする。
けど、ノーコンはこわい・・・。
当てられるかもしれないという恐怖も頭によぎる。
「どうせストライク入らんだろう」と油断していると、ポンポン、ストライクが入ってきたり。なので、マトを絞ることも容易ではない。
このように、「すっぽ抜け」という、いわゆる、一般的には「欠点」や「短所」と思われる部分は、逆に大きな武器になるのである。
小さな会社もまったく同じ。
例えば、社員に東北弁や九州弁などの放言があったとしましよう。別に方言は欠点じゃないけど。なぜか直そうとする人は多い。
しかし、直すのではなく、大きな「特徴」や「差異」として使えばいい。
方言でしゃべる女子ってかわいいと思ったことないかな?
わざわざ「●●でしゃべって!」と要求したことはないかな?
放言は逆に大きな長所ともなるのだ。
交通の便が悪い立地にお店があるとする。
それは、逆に「喧騒から離れた静かなる立地」として、武器として使えばいい。
現に、僕は静岡にある「ほしのやふじ」によく行くのだが、ここはフロント施設から宿泊施設までが少し遠く、山のちょっと上にある。なので、送迎用ジープで送り迎えが必要となる。
でも、それが返っていいのだ。
「ちょっと人里離れた場所に行ける」
「ジープでちょっとした難所を登る体験ができる」
「宿泊施設からちょっと遠いから、面倒なので静かなる山上の方で時間をゆったりすごす」
などが考えられるから。
このように、短所や欠点と思われることは、逆に意外と武器になったりする。
「差異」や「特徴」がブランディングに活きてくるのだ。ぜひ、欠点や短所はわざわざなくすのではなく、うまいこと活用していくといいね。
ブランディングおすすめ本
僕がブランディングを学び、実践する上で、この上なく勉強になった本はこちら。
阪本啓一さんが書いた『つまりこういうことだ!ブランドの教科書(日経ビジネス人文庫)』。
相当お世話になった名著。わかりやすいし、スモールビジネスにも実践しやすい。