経営をする際、ふだんから考慮しておかなければならないことの一つに「しのぎ代」があります。
しのぎ代とは?
わかりやすくいえば、「余剰資金」とでも言いましょうか。
ふだんからこの「しのぎ代」を考慮した「価格設定」なりをして、厚みを持たせておくことが大変重要です。
岡本吏郎さんの『長く稼ぐ会社だけがやっている「あたりまえ」の経営(岡本吏郎著、フォレスト)』でもこのように書かれています。
極端なことをいえば、事業拡大よりも、「しのぎ」の方が重要なのです。
会社を経営をしていると、好調な時もあれば不調な時もあります。
諸行無常。盛者必衰。
ずっと良い時期というのは、自然界の法則からすれば成り立ちません。
しかしながら、往々にして、経営者は好調期の時は「これがずっと続く」と勘違いしてしまうものなのです。
すると、いざ冬の時代がやってくると、「しのぎ代」が手元にないため、慌てふためいてしまいます。
結果として、余裕がなくなり、どんどん「悪い打ち手」を打ち、余計に悪くなる・・・。
中には詐欺を働く人もいますから、こうなると手に負えません・・・。
刑務所にぶちこまれるか、夜逃げや海外逃亡しか残された道はありません。
そうなる前に、われわれ経営者がやっておくことは、「ふだん」からこの「しのぎ代」を意識した経営をしておくことです。
例えば、任天堂が一昔前、「Wii」で一世を風靡しました。いわゆるこの時に「しのぎ代」を積み上げていたのです。
ところが、それ(しのぎ代)というものを理解しない、短期志向な株主たちは、「利益還元しろ!」「配当を出せ!」と罵倒しました。
任天堂は困りましたが、「うちはゲーム会社。当たるかどうかはわからない。水ものです。いざ、不調期が来た時でも、しのげるように余剰資金を積み上げているのです。」というようなニュアンスで、利益還元案を断固拒否しました。
結果、その後にWiiが売れない不調期が来ました。が、以前から積み上げていた「しのぎ代」でまさに乗り越え、「ニンテンドーSwitch」をヒットさせたのです。
「しのぎ代」をふだんから意識していた経営がなせる業でした。
2020年からは「コロナ禍」が始まりましたね。慌てふためいた事業者は世にたくさんいると思われますが、そもそも、ふだんからこういった不調期を乗り越えるための「しのぎ代」は積み上げておかねばならない、というのが経営セオリーです。
ぜひとも忘れないようにしましょう。