東京オリンピックが閉会しましたね。
賛否両論ありますが、メダル合計数58個、金メダルも27個、いずれも史上最多の結果といい、選手の成果から見れば上々の出来だったのではないでしょうか。
メダル数からもお分かりの通り、たくさんの「成功者」が生まれたと思われます。
成功者というと、どのようなイメージを抱くでしょうか?
とてもきらびやかで華々しく、輝いているイメージを想像される方がほとんどだと思います。
しかしながら、元ハードル400m銅メダリストの為末大さんもブログ記事『オリンピックを終えたアスリートたちへ』で警鐘を鳴らしていますが、本当に気をつけなければならないのは、実は「成功後」です。
これはアスリートに限らず、経営者やビジネスマンも同様です。
成功前よりも「成功後」の方が精神面のケアが大変難しいのです。
目的やゴールがあるうちはいいのです。
努力は辛いかもしれませんが、「到達点」や「目的地」がありますから。
ところが、目的地に到達してしまたったらどうなるか?
次がないと「宙ぶらりん」の状態になります。
燃え尽き症候群も同意です。
これは、「成功」が輝かしければ輝かしいほど、その「落差」が急激になりますから注意が必要です。
私も「成功後」のメンタルケアについて、多数の著書などを研究しましたし、実際コーチングの現場にて、たくさんの経営者さんをケアしてきました。
それほど成功後のケアは重要な課題です。
「成功後」の危険性を知る上で参考になる書の一つにこちら『成功者K(羽田圭介著・河出書房新社)』があります。ぜひ参考になるので、お読みになられることをお勧めします。
本書は、小説家Kが芥川賞を受賞した後、突然人生が変わったことを物語にしたものです。
例えば、テレビに出まくったり、女性にモテるなど。
フィクションか?ノンフィクションか?はわかりませんが、リアリティが充実していて、とても参考になります。内容も面白く、スラスラ読むことができます。
これから「成功」を目指される方、または成功後に悩まされている方は必見の内容です。
また、2つ目にお勧めするなのは『成功して不幸になる人びと〜ビジネスの成功が、なぜ人生の失敗をよぶのか(ジョン・オニール著、神田昌典監訳、ダイヤモンド社)』です。
副題にある通り「ビジネスの成功がなぜ人生の失敗をよぶのか?」は、多くの経営者に突き刺さるメッセージだと思います。
監訳者の神田昌典さんは、帯でこう書いています。
「私が本書を是非、いまの日本に紹介したかったのは、本書を通じて、あなたにバランスのとれた成功を実現してほしいと思っているからである。
私は本書に出会うことなく、成功街道を突き進んでしまった。
その結果、歪みに気づかず、道中で多くの地雷を踏んでしまった。
もっと早く、この本に出会っていたら、家族に対して、そして友人に対して辛い思いをさせないで済んだことだろうと、いまでも胸が締めつけられる思いをしている。」
(『成功して不幸になる人びと〜ビジネスの成功が、なぜ人生の失敗をよぶのか(ジョン・オニール著、神田昌典監訳、ダイヤモンド社)』帯より引用)
目次は以下の通り。
- 第1章 まやかしの成功に踊る人々
- 第2章 心のなかで育つ影
- 第3章 なぜ人は慢心するのか
- 第4章 人生の棚卸し
- 第5章 「捨てる」ことを学ぶ
- 第6章 一人の時間をつくる技術
- 第7章 意識しなければ、変わり続けることはできない
- 第8章 成功を持続するリーダーの原則
大変興味をひくテーマがずらりと並んでいますね。
成功を目指される経営者、および、成功後に悩まされている経営者にとって、とても示唆に富む内容となっていることは間違いありません。
さらに、監訳者である経営コンサルタントで成功された神田昌典さんは、物語形式で自身の「地雷」経験を『成功者の告白 (講談社+α文庫)神田昌典著』として出版しています。
こちらも超がつく名著ですから、ぜひ一読されることをお勧めします。
成功前の本は多々ありますが、ハッピーエンドや成功後のことを「アリアリ」を書いた本はそう多くありませんので、とても貴重です。
ここまで恥ずかしい失敗談を書いていただけたことにリスペクトの念が止みません。
ということで、成功前も大事ですが、もっと大事なのが「成功後」です。
成功が大きければ大きいほど、その「落差」も大きくなり、闇も深くなる恐れがあります。
にも関わらず、「それ」への対処法があまり世に出回っていないことが問題です。
ぜひとも闇に陥らないためにも為末大さんの記事、および本記事で取り上げた参考図書などをお読みになられることをお勧めします。